古都奈良とお漬物の歴史
大和時代から見られる日本のお漬物
お漬物の歴史は大変古く、中国では1500年以上の昔から書物にその存在と加工法がしたためられており、
食べ物を塩蔵加工して保存性を高める行為は太古の昔から人類が用いていたとも言われております。
日本では奈良時代の天平年間のものとして出土した木簡からお漬物の記述が発見されておりますが、
古墳時代つまりは大和時代にも景行天皇や日本武尊のエピソードにお漬物が登場しています。
このようにかつて国の中心であった奈良の地と漬物の関わりは深く、
当時から中国や朝鮮との交流により日本古来の技術だけでなく、
大陸の漬物加工技術も取り入れられていたことが想像に難くありません。
そのような歴史的背景を基盤に現在も脈々と奈良にはお漬物の文化が根付いております。
現代の奈良のお漬物の主産品は全国的に有名な「奈良漬」を筆頭に、県南部の「茗荷」、
県北部の「梅」、県北中部の「生姜」が有名で、それぞれが文化や原料原産地に基づいて根付いております。
奈良漬については、前述した木簡とは別に「加須津毛、滓漬(かす漬)」として記述されているものが
奈良県内で発掘されており、それらが確認されている奈良漬の起源と言われております。
また、奈良県北部の月ヶ瀬はその梅林が日本最初の名勝指定を受け、梅の名産地としても有名です。
さらに茗荷や生姜は大和の伝統野菜にも含まれており、
古来から奈良の気候風土が栽培に適していたことが分かります。
これらの漬物や漬物に適した野菜が大和のお漬物文化を築き、
それらが日本全国に形を変えて広がっていったと言うのは奈良県人の贔屓目でしょうか。